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オーツェイドの独り言

オーツェイド株式会社代表 渡部のパーソナルブログです。

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intime-翔(Show)のご紹介 (2)

前回に引き続き intimeー翔 の製品説明をさせて頂きます。長文になりますがお付き合いくださいね。

intime翔

■intimeが考えるリケーブルイヤホンの理想
 過去に多くのお客様からリケーブルイヤホンの開発をして欲しいとのご依頼を受けてきました。intimeは「良い音を日常に」がコンセプトです。このコンセプト、シンプルなことなのですがシンプルだからこそ奥が深いと私は思っています。intime碧に始まり、現在のTi3に至るまで当社は徹底的に筐体側に徹した音作りを進めてきました。音作りの基本の基はドライバーとユニットと筐体であると考えたからです。当社のような新参メーカに取ってこの基本はとても重要なものであり、同時に開発戦略とで言えば格好良いかもしれませんね。おかげさまでintimeの音は多くのお客様に御認知頂き、前回のブログでも記述したようにコスパのintimeと呼んで頂けるようになった感がございます。まさに苦節4年でしたね(笑)。
 音作りの基本技術が構築出来たことをきっかけにして開発の方向をリケーブルへと進めました。そして今回のintimeー翔の開発に至ったのです。ここまで音に拘ってきた当社ですので、リケーブルにも拘りました。各種イベントやDMなどを通して得られたお客様からの現行のリケーブルイヤホンの弱点を分析して開発にアプローチしたわけです。過去にもいくつかリケーブルに関する課題をブログで述べてきましたが、大切なことは着脱時の堅牢性と低接点抵抗でした。
 堅牢性に関してはあらゆるプラグを取り寄せて着脱試験をしてどれが最も安定しているかを確認しました。その結果、日本DICS社のPentaconn Earが最善であるとの結論に至りました。
 そこで次に問題になるのは抵抗値です。下図はリケーブルに関する伝送抵抗の模式図です。
結線抵抗
音楽プレイヤーから出力された音楽ソースは、最初にプレイヤーとケーブルの接点(プラグ)で抵抗R4を持ちます。次にリケーブルのケーブル抵抗R3、そしてリケーブルの象徴であるイヤホン筐体とケーブルの接続プラグの接点抵抗R2、イヤホン内部の配線抵抗R1を介してスピーカに到達します。究極のリケーブルイヤホン開発とはこれらR1~R4を加算した全体の抵抗値R0をゼロに近づけることであると位置付けてここまで開発を続けてきたのです。ユーザーの方々がリケーブルを購入されてケーブル抵抗R3を低減される努力をされても、R1,R2,R4が大きければその効果は減少してしまいます。ケーブルの違いが顕著に出るリケーブルイヤホン、各ユーザーの方々がチョイスされるケーブルの材質や線の編み方などにより変化する音をお楽しみ頂けるイヤホンこそが我々の目指すリケーブルイヤホンでした。
 それでは前回に引き続きintimeー翔の細かな技術説明を続けさせて頂きます。

*ちょっとだけ専門的はお話をするとここで述べているRが全て直流抵抗についてのみ記載していますが、実際には周波数成分をもつインピーダンスが音質にも影響をしますが、まずは開発の一丁目一番地の直流抵抗は最重要だと当社は考えています。
 
 
5)OFC製 Pentaconn Earコネクタの採用
 当社ではかねてよりリケーブルイヤホンの機械的強度の改善、接触抵抗による音質の劣化の解決策を模索していました。そのような状況の中、日本DICS社の開発したPentaconn Earコネクタに注目し、当社のVSTやダイナミックスピーカユニット、さらには音響調整などとの整合・最適化を進めてまいりました。同プラグは従来のMMCX型のリケーブルコネクタに比べて約1/4以下の接点抵抗を持ち、さらに抜き差しによる接点抵抗のバラツキも大幅に低減出来ます。接点部分での不具合の多い従来のリケーブルイヤホンに対して、当社が選出したPentaconn Earプラグは機械的な堅牢さは元より低信号損失を最大の特徴としており、intimeが自信を持ってお勧め出来るリケーブルプラグであると確信しております。
 現在ではPentaconn Ear をリケーブルモデルに自社の上級モデルに採用されているイヤホンメーカさんも目立つようになってきました。そしてその多くはどちらかというと着脱によるトラブルが少ないという堅牢さがユーザー目線では注目されている気がします。
 元来、Pentaconn Earは接点部分の面積が大きいため、その接点抵抗が小さいことがオーディオ的なメリットです。リケーブルの線材を銀や単結晶銅などのようにρ(体積抵抗率)の小さいものを選ぶことで、よりソースの基本に近い音を再生できるとされていますが、実はMMCXの接続部の接点抵抗は無視できなく、せっかくの良質な線材の良さを生かし切れていないというデメリットがありました。そこで一部のイヤホンメーカさんでは接点抵抗の低いPentaconn Earに注目しその採用に至っているケースが多いのだと思われます。
 後述しますが、当社ではリケーブルイヤホンに本腰を入れたときから、リケーブルイヤホンの楽しさを最大限に味わえるのは究極(現段階での)の低接点抵抗を持つプラグが大前提であると考えました。無論その中で当初からPentaconn Earには注目していたわけですが、「究極」を目指す意味で今回当社のintimeー翔にリケーブルイヤホンの標準プラグとしては世界で初めて、Pentaconn EarのOFC仕様をそのプラグとジャックに搭載いたしました。
PANTACONN.jpg 

 下表はMMCX、Pentaconn Ear(真鍮材)、Pentaconn Ear (OFC材)それぞれのリケーブル部分の接触抵抗を測定した結果です(単位は全てmΩです)。Pentaconn EarはMMCXよりも圧倒的にその抵抗値が低いのがわかります。他社様のイヤホンで用いられているPentaconn Earの材質は真鍮です。MMCXと比較した場合、その接点抵抗の低さは十分であると考えられます。しかしながら当社で試聴を重ねた結果、明らかに音質の差異が認められ「究極」を求める上ではOFCは不可欠という判断に至りました。おそらく現段階で市販されているリケーブルプラグ&ジャックにおいてPentaconn EarのOFC仕様がもっとも接点抵抗の低いものであると思われます。
MMCXとPentaconnの差異
 ポータブルオーディオの上級者の方々はリケーブルにより自分だけの音作りを楽しまれます。当社のintimeー翔はそんな方々のご要望に素直にお応え出来るイヤホンです。

6)内部配線に4N純銀と7N無酸素銅のハイブリッドケーブルを採用
 前述のように当社が考えるリケーブルイヤホンのあるべき姿は低接点抵抗による低損失化です。リケーブル端子に拘って内部配線には無頓着では考え方に矛盾が生じます。故にイヤホン筐体内部の全ての内部配線用ケーブルに日本製の4N純銀撚り線と7N水準高純度無酸素銅撚り線のハイブリッド構成(HOT側とCOLD側で異質材を構成)を採用いたしました。ここでのハイブリッド構成はかつてintime碧Lightのバランス仕様等で得られた知見をフルに活かしています。中高域の音の伸びや解像度の高さを底上げするだけでなく導体抵抗抑制による信号の分圧比がウーハー側にわずかに加担されます。この選択は重厚でありながら速度感のある締まりの良い低音再生にも大きく貢献しています。

7)銀コートOFC線のバランスケーブル、OFCプラグを採用
 付属ケーブルには日本DICS社製の高純度OFC銀コート・バランス接続ケーブルを採用しました。8芯構造のケーブルはその抵抗値の低さのみならず高い耐久性をも有しています。また2.5mm、4.4mmのプラグ部分にも全て金メッキをを施したOFC材を用いました(一般的には真鍮が多用されています)。様々な材質のケーブルを用いて音を決めていく過程で、OFCプラグに純銀、高純度銅の内部配線と徹底的な低損失化を実現したintimeー翔ではクリティカルにケーブルの材質の違いが現れます。当社採用ケーブルでは周波数全域でのノイズ低減と解像度、優れた定位と分離感を持ち、まるで音に包まれているかの様な広い臨場感をお楽しみ頂けます。
※本製品のケーブルには銀を用いているため空気中の硫化性ガス(硫黄等)に触れると極表面(オングストロームレベル)が変色する可能性がありますが、製品の特性には何ら影響御座いません。

8)オリジナルケーブルスライダーの採用
 ケーブルのスライダー部には、日本DICS社と共同開発しました軽量アルミニウムにアルマイト加工を施したオリジナルケーブルスライダーを採用しております。こちらは、付属の六角レンチで取り外しが可能となっております。タッチノイズを低減させることで使用時の快適性を向上させ、ユーザーの方がリスニングに没頭できる環境を実現いたしました。
 スライダーに刻印されたシリアルナンバー*は当社技術スタッフが一つ一つ音質検査をした日本製品質の証です。
*本製品は製造順にシリアルナンバーをお付けして出荷いたします。各販社様からの注文を頂いた順に製造し、シリアルナンバーをお付けしていますので販社様からの注文タイミングで番号が前後することもございますことをご了承ください。

9)主な仕様
製品名:intime翔(show)
形式:カナル型
インピーダンス:22Ω
ドライバーユニット:ハイブリッド型
チタンコート10mmウーハー+第3世代セラミックツイータVST2+HDSS*
感度:100dB/mW
再生周波数帯域:10Hz ~ 55kHz
ケーブル:高純度OFC+銀コート線材を使用した8芯構造ケーブル
出力側プラグ:OFC製Pentaconn Ear プラグ
入力側プラグ:OFC製2.5mm or 4.4mm 4極バランスプラグ
       *ご購入時にご指定下さい。
イヤピース:Acoustune AET07 各サイズ4セット(S、M-、M、L) 
(出荷時にはMが装着されています)
その他付属品:
・本革キャリングケース
・intimeオリジナルUSBメモリ(1GB)
・コードスライダー一式(専用ねじ3個、六角レンチ1個)
・intimeミニポーチ
・Pentaconnオリジナルコードリール
*HDSSはTBI Audio System LLCの特許技術です。

10)その他 
・本製品は受注生産になります。ご注文状況や部品在庫により異なりますが、ご注文後3週間~6週間ほどのお時間を頂く場合がございます。詳細はお取り扱い店舗様でご確認ください。
・お取り扱い予定店舗様
 イーイヤホン全店舗様
 ビックカメラ様(事前にお取り扱い店をご確認ください)
 フジヤAVIC様
 ヨドバシカメラ様(事前にお取り扱い店をご確認ください)
・9/16から受注受付を開始する予定です。

 


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プロフィール

intime with u

Author:intime with u
「良い音を日常に」「面白いほうのイヤホンメーカ」
 オーツェイド株式会社の渡部です。
イヤホン、セラミック、プライベートなことなど徒然にブログをアップして行きたいと思います。
趣味:スキー、ロードバイク、アコギ
特技:半田付、胃カメラ

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