2020
Sep
07
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intime翔の開発を終えて
ここのところ、ユーザー様からDM等で「intime翔」についての詳細な情報が知りたいという内容が多く寄せられています。今日は少しだけそれについてのお話を。
実はこのイヤホンの開発、intime碧を市場に出したときからの私にとっての小さな夢でもありました。碧や碧Lightを御使用頂き、「コスパのintime」と多くのユーザーの方々に認知して頂いたのはとても幸せな事だと思っています。そんなコスパブランドが考える「コスパ」って何なのだろう?それは私にとっての命題でもありました。
コスパ=コストパフォーマンス
すなわち価格に対してアウトプットが優れていることを表します。
アウトプットにはいくつも定義があります。特性、耐久性、カスタマー対応等々。。でも最終的にイヤホンの最大のアウトプットは「音」であると私は思っています。かと言ってこれが「全世界共通の良い音です。」と言える音などあるはずもありません。結局それはユーザーの方が決めることなのです。私は価格が安ければ全てコスパが良いとは思いません。一般の価格を凌駕したアウトプットがあるからコスパが高いと言えます。故にハイコスパはエントリーモデルでもハイエンドモデルでも成り立つのです。例えば5000円の音を2000円で提供出来ればそれはハイコスパになります。同時に100,000円の音を50,000円で提供出来れば、それもハイコスパになると私は思っています。故にイヤホンのアウトプットの「音」をどうやって高めるのかがコスパイヤホンを創る上での最大の課題になるのです。
そこで我々はできる限り多くのユーザーの方々と直接話をすることを決めました。ポタフェス、各種試聴会、ASSYミーティング、果てはプライベートでお話など。こうすることで既存製品の音に関する色んなご意見を伺うことが可能になります。intime碧に始まり、碧Light、煌、轟、Ti3といずれの音もこうしたユーザーの方々との会話の中で得られた情報を元に開発してきた製品群です。無論、それは数を重ねる毎に高度化されて緻密になっていきます。ユーザーのニーズに我々メーカの技術をフィットさせていくこと。これは至極当たり前のことなのですが、技術者はとかく自己満足に陥りやすく、その至極当たり前が出来ない場合が多いのです。その結果、開発費だけが嵩み高コストな製品を開発してしまうことになります。私はスタッフに常々からユーザーに寄りそうことの大切さを伝えてきました。実はこのユーザーの意見の反映が最短で最善の開発につながるのです。Ti3の販売で直線性のあるVSTとHDSSの使い方を徹底的に学び、intimeーXで低域を如何にして歪無く再生できるかを学び、いずれの場合も全てユーザーからのご意見やご指摘を受け止めた結果、達成しなくてははならない技術課題だったのです。そしてようやく上級社の方々にも受け入れて頂けそうな音に辿り着くことが出来ました。それがintimeー翔なのです。
その一方で中小企業だから出来るコストのかけ方にも気を使いました。当社は高崎に社屋を構えています。特に広告やカタログなども出していません。社員も必要最小限で最大限の成果を出せるように努めています。結果的に大企業の抱える間接費用を最小限に抑えてそれをコストに反映させいます。当然、そこには販社様の協力も多分に必要です。多くの販社様は我々の「良い音を日常に」というコンセプトに賛同して下さいました。
その結果、ユーザ指向の「音作り」と「価格」の両立が可能なイヤホンを開発することが出来るようになりました。
「intimeー翔」は販売価格が¥60,000(税別:小売店様価格)で、今までの我々の製品群の価格帯に比較すると高価なものになってしまいました。しかしながらその「音」については前述のように価格に照らし合わせても自信を持ってお勧め出来る内容になっています。例えば、日本DICSさんのペンタコンイヤーケーブル。これにはOFCプラグを用いて銀コートを採用しています。リアルなお話で恐縮ですが、このケーブルは市販で20,000円以上しますし、各種接点部分にもOFCを用いています(これもお高い!)。さらに内部配線にまで拘って銀ケーブルや高純度銅ケーブルをハイブリッド構成で用いています。イヤホンの改造などをされたことのある方ならその価値は容易に想像出来ると思います。
これらはユーザーの方々から頂いた「堅牢なリケーブルイヤホン」と「リケーブルによって自分の音を作ることの出来るイヤホン」というご要望にお応えするために考え抜いた当社の一つの回答であると思っています。特にどんなにリケーブルのケーブルを良くしても内部配線や接点抵抗が大きければ、その効果は半減してしまいます。intimeー翔は当社が現段階でご提供できる最善のユーザーライクなイヤホンであると私は思っています。是非一度ご試聴頂ければ開発者として幸甚に思います。
近日中(販売前)に技術情報についてもアップいたしますので、ご興味のある方はお立ち寄りくださいね。
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