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イヤホンの周波数特性について(3)

 しばらく時間が経ってしまいましたが、イヤホンの周波数特性に関するお話、今回を最後にしたいと思っています。
 前回までは周波数特性が同じでも聴感上の音が違うこと、そしてそれが測定系の違いによることもあることをお伝えしました。今日はハーモニックスによる違いについて書きたいと思います。
 下の図は当社のあるスピーカに1kHzの正弦波信号を入れた時の音のFFT解析を行ったものです。FFT解析って難しそうですが Fast Fourier Transform と言って、平たく言えばその信号の中にどんな周波数成分が含まれているかを知る解析手段の一つです。
FFT
 図の様に1KHzのところに大きなピークがあります。これがスピーカへの基音の入力信号1kHzです。本来は1kHzの音しか入れていないのになぜかそれよりも高い周波数に小さなピークが表れています。何故このような現象が起こるかはまたASSYミーティング等でお話をさせて頂ければ良いかと思いますが、要するに基音を入れることにより他の音も聞こえて来るというのがオーディオの世界では一般的なのです(これを倍音とかハーモニックスとか呼ぶようですが、私は高調波音と呼んでいます)。さらにこれらの高調波音の出方や大きさは振動する材質や形状により大きく変わります。
 一方で前回お話をした周波数特性の測定機。一般的には低い周波数から高い周波数まで信号をスイープしてその時にスピーカら放出される音をマイクで拾って測定します。その際、信号を出す側(スピーカ)と読み取る側(マイク)の測定する周波数は同じです。1kHzの音を入れたときに受ける側のマイクは1KHzの音の大きさだけを読み取ります。そうなると上記の高調波音は読み取られませんので、データには反映されません。その結果周波数特性で示す音には高調波音が含まれず、聴感とデータとの間に相違が生まれてしまうのです。
 とは言え、周波数特性は大切です。3dB以下の音の強弱を感じれる人間は少ないと言われていますので、3dB以上の周波数特性の差異はリスナーの耳には大きな差として伝わってくるでしょう。
 当社は、ダイナミックSPの高調波音とセラミックの高調波音を如何につないでいくか? あるいはその高調波音そのものをどうやって制御するか?を考えながらデータを測定して音作りをしています。しかしながら創設4年弱のintimeで、未だに聴感を越える評価方法は無いようです。
 ポータブルオーディオは本当に奥が深いなあと思う今日この頃です。

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