2020
Jul
21
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イヤホンの周波数特性について(2)
先日のブログで書かせて頂きましたイヤホンの聴感上の感覚と周波数特性の関係。同じ周波数特性を持つイヤホンを試聴比較してみても音の違いを感じてしまうという内容でした。
まず前段で一応イヤホンを開発販売している側のエンジニアとして述べておきたいのですが、イヤホンの周波数特性の測定はその測定する環境によって異なるということです。
一般的に我々のようなイヤホンメーカでは以前の私のブログでも記述したようなダミーヘッドを用いて周波数特性を測定します。より人間の聴感に近い特性を把握するのが目的です。現在は日本オーディオ協会とJEITA(日本電子情報技術産業協会)の間で、ハイレゾに関して取り決められた測定方法が基準になっているようです(これが絶対ではありません)。むろんその中でダミーヘッドや測定用のカプラ(測定治具のようなもの)の幾何学的な規準も決められています。面白いことに測定機の規準が決められていても、例えばA社製ダミーヘッドとB社製ダミーヘッドでは、同じイヤホンを測定してもその特性が異なってきます。わずかながらの寸法差や場合によってはマイクの性能などの差異が影響するためと言われています(特にマイク特性についての補正は重要ですね)。
従いまして例えばカタログ等で表示されている周波数特性を取り上げてA社のイヤホンの特性がこうで、B社のイヤホンの特性がこうだから。。。などという比較はあまり意味が無いということになります。
従いまして例えばカタログ等で表示されている周波数特性を取り上げてA社のイヤホンの特性がこうで、B社のイヤホンの特性がこうだから。。。などという比較はあまり意味が無いということになります。
そうは言っても趣味を極めていくとどうしてもその周波数特性を把握したくなったりしますよね。最近では割と簡単に上記規格とは別にイヤホンの特性などを測定出来る簡易的なセットなども販売されているようです。そういったセットを購入してご自身の気になるイヤホンなどの特性をビジュアル化される方々が増えるということはポータブルオーディオという市場に携わる一人の人間としては思い切りウェルカムだと思っています(あくまでも個人的にですよ)。
ご自身の耳を鍛える?という意味で、様々なイヤホンを試聴してこのイヤホンは(自分の測定環境ならば)、400~500Hzが高いとか、5kHz近傍の音が低いとかを当てて行けるようになることは楽しいことですし、まさにイヤホンマイスターですからね。
今回は測定環境により周波数特性が異なることについて簡単に記載しましたが、同じ周波数特性なのになぜか聴感が異なるということについて次回述べたいと思います。
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