ユーザの方からのお問合せについて
「intime 碧2はなぜAcoustuneのAET07にされたんですか?イヤーピースが製品によって変わるのはトータルでチューニングをされていると思うのですが、その辺りの開発秘話などお聞きしたいです!」
今日はこのご質問に回答させて頂きたいと思います。
おそらく各イヤホンメーカ様毎に、メーカ様毎の音の在り方みたいなコンセプトはお持ちだと思います。最近ではODMと称して設計までも委託している企業も見受けられるようですが、特に開発をしっかり自社で行っているメーカ様の場合、音作りには強いこだわりをお持ちになっていると思います。
無論弊社も同じです。弊社の場合はセラミックツイータを活用した抜けの良い音作りというのが基本コンセプトと言えますし、その味付けをどうしていくか?を弊社の開発者は常に考えています。
初代のintime碧から最近発売させて頂いた碧2や碧Ti3などいずれもユーザーの方がお持ちの弊社へのイメージを想定して音のバリエーションを持たせています。
さて本日のお問合せはイヤピースの選定はどうやっているのか?ということです。
上述の開発コンセプトの中でいくつかのイヤピースを選択して開発を進めていくのですが、弊社が重要視しているイヤピースの選定条件は「親和性」です。
せっかく創造力を高めて開発を行ったイヤホン。例えば私が聞いたら低音がすごく出ているように聞こえるのですが、他のスタッフが聞いたら低音が全く出ていないように聞こえる。こういった問題が生じた場合、周波数特性を確認して音の傾向をデータとして確認します。そこでどちらのフィーリングがが正しいのかはおよそ判断ができます。以前、私のブログでも書かせて頂いたようにイヤピースの親和性(装着性)は聴感に大きく影響します。ほとんど試聴者のフィーリングの大きな差異はこの親和性に依存するのです。実際のところ、過去にそういったお問合せで悩んだこともありました。詳しく調査してみるとご自身の耳にイヤピースが上手くフィットしていなかったというのが原因でした。
故にまず弊社で標準品として選択するイヤピースは、誰が装着されてもできる限り似たようなフィーリングを得られる親和性の高いものを選ぶようにしました。同時にイヤホン販売はビジネスでもあるためコストも度外視できません。
親和性の高いこと、コスト的にリーズナブルなことの両方を兼ね備えたイヤピース選びが今回の答えになりますね。特に尖った特性のイヤピースを探すことはあまりありません。今のところ弊社で標準採用しているイヤピースは碧Light、碧2、碧Ti3シリーズすべてAET07です。普通に安定して弊社製品の音を素直に出してくれる親和性の高いイヤピースであると思っています。
裏話ですが、現在開発における全製品のファーストチューニングは全てAET07で行っています。弊社のスタッフの誰が聞いても同じフィーリングになるからです。イヤピースを変えて自分好みの音を作るという部分はユーザの方々にお任せして、弊社は基軸にあるイヤホンのそのものの開発に注力したいと思っています。
そこから尖った特性や更なる装着性を求められるようなユーザの方々は、ご自身のベストチョイスを楽しまれるのも良いでしょうね。というかそれがイヤホンという趣味の楽しみ方の一つですから。
まずは弊社の考える音はこれですと万人に伝えられるイヤピースをご提供することが弊社のトータルチューニングの在り方かなと思います。
現在弊社でもオリジナルのイヤピースを開発しています。新型コロナの影響で開発費等の問題もあり少し遅延しています。このイヤピースは上記とは矛盾が生じますが、全く異なる開発コンセプト。すっごく尖った特性のイヤホンです(内容は今のところ秘密ですw)。現在万人の方に対して親和性のあるイヤピースの答えの一つとしてAET07があるのですから、それに似通ったイヤピースを創るのではなく逆にどこのメーカ様も手を出していないような尖った特性のイヤピース、それでも一個だけは持っておきたいね。って思って頂けるような面白いイヤピースを作ってみたいなぁという私個人の思いから始まった開発です。一応特許の取得も終わりましたので、今しばらくお待ちくださいね。
今回の質問も含めてツイッターのDMで私宛に2件ほど技術や商品などに関する問い合わせが来ておりますので、イヤホンホビーなみなさんのご興味にそぐえるようでしたら随時回答させて頂きます。何か質問があれば私宛にツイッターのDM頂ければ幸いです。