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intime 碧に使われている「VST」って何? (その4)

前回はVSTの振動を音響的に有効にする構造について説明しました。
一般的には圧電ユニモルフと言われている構造でしたね。
今回はこの構造をベースにして
VSTがどのようにハイファイの音を作っているかについて説明したいと思います。
最初の頃に比べると少しマニアックな内容になってきましたが
頑張って着いてきてくださいね。

今1枚の金属の板があったと仮定しましょう。
この金属板の両端を固定してハンマーで叩きます。
VST-図3

図3を見てください。
図3の左側の図は金属板の端部を強固に固定した状態です。
板はピンと張り詰めた状態になっていると想定してください。
この板を叩くと図のように弓なりに振動します。
この時の振動は共振周波数もしくは固有振動と呼ばれるもので
板の材質や厚み、長さによって決まります。
そしてこのような単一の振動モードでしか振動しない振動を単振動と呼びます。
両端を強固に固定した板は特にこの単振動が強調されます。
ゆえに「ピー」という単音しか必要としないブザーにとっては有効な構造と言えます。
ところがハイファイでは「ピー」という音だけはではなく
様々な周波数の音を再生しなくてはなりません。
したがって図3左のような固定方法はハイファイ用途には不向きであると言えます。
今までにもいくつかセラミックをツイータとして使ってきたイヤホンはあります。
しかしその多くが上述のような固定方法を用いていたため
どちらかというと耳障りなブザーライクな金属音が誇張される音になっていたのです。

そこで弊社ではこの固定方法をルーズにすることを考えました。
図3右図がその模式図です。
両端の固定を例えばゴムのようなものでルーズに固定すると
金属板は共振周波数を基本に振動しますが
実は他にも色んな周波数の成分を持った振動を伴います。
図3左の音がキーン!という残響音であるのに対して
図3右はキンという歯切れの良い音になります。
そしてその「キン!」の中には
厳密には様々な周波数成分の音が含まれています。
さらにキーン・・・といった残響を伴わないため
ハイファイとしての歪みも低減出来るのです。
すなわち振動板の端部をルーズに固定することで
セラミックの音がハイファイでも使えるようになってくるのです。

VST-図4
このような原理に基づき弊社では図4に示すような
振動板の端部の一部のみを垂直方向に支持する構造を提案しました。
これが垂直支持型ツイーターVST(Vertical Supoort Tweeter)です。
この支持方法は振動板をルーズに固定することが出来ます。
その結果、より多くの周波数成分を含み
かつ金属的な残響音の少ない音を実現することが出来ました。

VSTは今までセラミックツイーターでは難しいとされていた
ハイファイサウンドを再生出来るセラミックツイータとして期待が持てます。
すでに弊社ではこの構造に関する特許を取得しており
弊社イヤホンの碧のみならず
他のイヤホンメーカー様にもお使い頂いております。
そしたさらにその音に磨きをかけた新しいVSTの開発も進めています。

VSTにはまだまだ最先端の技術が詰め込まれています。
次回はその最先端技術について説明したいと思います。

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