2019
Apr
10
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イヤホンって難しい
今日はちょっと技術オタクな話をしてみます。
みなさんは音の速さってご存じでしょうか?
一般的な空気中ですと(厳密には温度が変われば音速も変わります。)一秒間に340mくらい進むと言われています。
もう一つ、「波長」ということばがあります。これは平たく言えば音の波の長さです。
100Hz(ヘルツ)の音って一秒間に100回空気の波が起きているということです。ということは一秒間に音が進む速さ(340m)の中で100個の波が起きているわけですから、この音の波長は
音速÷100=340÷100=3.4m
ということになります。
ではイヤホンの再生周波数帯域で良く出てくる
20Hz~20000Hz
という数値。これを波長ということばで表したら
340÷20=17m
340÷20000=0.017m=1.7cm
ということで
17m~1.7cm
というのが再生可能波長(この言葉が正しいか否かは別)になります。
実際に音の発生源から人間の耳の間にある空気はこんな波長を持って動いているのです。
これが一般的な音響のお話しです。
ここで疑問に思われた方もいると思います。
そうです。イヤホンやヘッドホンと鼓膜の間に17mもの長さの空間は存在しません。
それでも人間はすごく低い音を感じ取ることが出来ます。
これがイヤホンの難しいところで
今多くの学者さんがその理由について明確にしようとしているようですが
一般的な音響の理論では簡単に解明できないみたいです。
(もしも既に解明されていたらごめんなさい)
だからイヤホンの設計は難しいと思います。
むろん弊社はシミュレーションを駆使してイヤホンの筐体設計をしていますが
多くは経験値を駆使してその解析結果をアレンジしているのです。
今のところ私はイヤホンって音響解析ではなく
流体解析を用いた方がより設計の確度があがるのかなと思っていますが
それも我流です。
という具合に、アカデミックな世界ではイヤホンをどうやって解析するか?
が一つの課題になっていると思います。
でもイヤホンという「製品」で見た場合、
設計する側の開発者は「どうしたら感動してくれるか」が課題なのです。
だから設計を他人任せする人は
人に書いてもらった論文を発表するようなもの。
人に感動してもらえるイヤホンなんか出来るわけはありません。
intimeが出来て2年が過ぎましたが
私は今もそしてこれからも。オーツェイドの代表である前に
intimeというイヤホンを設計する開発者でいたいと思っています。
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