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母のイヤホン

私には今年80を迎える母がいます。
到底80とは思えないほどに血気盛んで、老人大学にも積極的に参加し、オカリナ教室などにも通っているスーパーおばあちゃんなのですが。むろん息子として親が元気であることはすごく幸せなことで、この先も長生きして欲しいなと願っています。
 そんな母親に先日、弊社のイヤホンのintime碧Lightを聴かせて上げました。
昭和の戦中に生まれた母ですから、最近の曲などは知るはずもなく、Webからダウンロードした美空ひばりと石原裕次郎の曲を何曲かピックアップして聴かせてあげました。
 当然、カナル型イヤホンの使い方もわかりませんから耳タブを引っ張って奥に入れて。。。私の声が聞こえにくくなったら装着完了!みたいな感じで装着方法もレクチャーしつつ装着完了。
 そしてDAPで演奏開始。
 母は音が耳に入るなり眼を閉じました。そしてしばらくはじーっとダイニングの椅子に座ったまま動きもしませんでした。しわくちゃの顔にイヤホンを付け、そしてイヤホンを両方の腕で抑えている姿は、まさにいつぞやのウォークマンの猿のようです。私は少しおかしくなって吹き出しそうなってしまいました。
 と、次の瞬間。母親の眼から涙がこぼれ落ちたのがわかりました。ここ何年も見ていなかった母親の涙です。果たして何があったのか私にはわからずそのまま横に寄りそって母を見つめていました。しばらくして母親がイヤホンを取り外して一言
「これ、ええわぁ。本物のヒバリが近くで歌ってくれてるみたいや。」
と鳴き声混じりに母は私に訴えかけました。私を見つめる母親の瞳はなんとなく子供の頃にみた母親の眼に似ているように感じました。
 そして涙の理由を聴いたところ、若い頃に聴いた美空ひばりの曲を聴きつつ、すでに他界している父と出会った頃や、二人で商売を始めた頃、また私や弟が幼少の頃だったりとかが曲と一緒に頭の中を巡ったのだそうです。私もその話を聞きながら少し目頭が熱くなるのを感じました。
 歌は世に連れ、世は歌に連れと言います。一人一人の心の中に納められている音楽の引き出しにはまるでアルバムのように脳裏に当時の情景を映し出してくれる力があるようです。
 そしてそんな音楽を奏でるイヤホンを開発する側の立場として、「リアル」に音を再現してあげることは音楽の引き出しに入った楽曲達への最低限のマナーでもあるのだなと強く感じた次第です。

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