2023
Mar
16
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VSTとRST
当社の技術の核と言っても良い能動的な圧電セラミックツイータのVST。そして先日Maestraudioでデビューしたパッシブ型のセラミックコートツイータRST。いずれも解像度の高いイヤホンを作る上で当社イヤホンには欠かせないデバイスです。
よくVSTとRSTの違いについてご質問を受けることがあるので、この場をお借りして簡単に説明をさせて頂きます。
まず両者の最大の違いは駆動方式です。VSTは電気信号をセラミックに印加することで振動させる自励式、RSTはウーハーから出る音(空気の振動)を受けて共鳴する他励式です。いずれも倍音成分は豊富なのですが、音の指向性に差が出ます。
下図は20kHzにおける両者の指向性について示したものです。VSTとRSTいずれも指向性は110度前後で大差はありません。
下図は20kHzにおける両者の指向性について示したものです。VSTとRSTいずれも指向性は110度前後で大差はありません。
ところが下図のように40kHzで比較するとその指向性に大きな違いが生じます。VST,RST共にスーパーツイータとして機能していますので40kHzでの聞こえ方は音の雰囲気作りに影響してきます。特に超高域での音の差は音の雰囲気を決めるサウンドステージ(音場)に対して影響があると言われています。
当社のintimeのイヤホンが全て同軸構造にあるのはVSTのこの指向特性を最大限に活かすためです。一方、IEM構造はダイナミックドライバとツイータを同軸上に構成するのが難しいためMaestraudioのイヤホンはRSTを用いているのです。
ではRSTを全製品に用いれば?という疑問が出てくると思いますが、それは自励式と他励式のツイータの感度の差にあります。最大で6dBほどの差が出る二種のツイータ。VSTは抜け感のある音、RSTは臨場感のある音。この辺りのさじ加減をポイントに製品作りに取り組んでいるのです。
私自身はオーツェイドの代表ではあるのですが、エンジニアとしていわゆる「理論」に対する拘りがなかなか捨てきれなくて。。。プラシーボでは無いかと言われているリケーブルですが、実は私もイヤホンの開発をするまでは「嘘でしょ」と思っていましたが、実際に線を変えて試聴してみたら明らかに音が変わります。周波数特性には一切表せません。不思議ですよね。これ、今私が興味ある技術の一つです。
これからかも気が向いたらこんな技術のお話しをブログでして行きたいと思います。
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