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ハイレゾに対する思い(3)

ハイレゾに対する思い(1)
ハイレゾに対する思い(2)

と二回にわたり記事を書いてきました。
今回は最終回です。

今日は少し技術の臭いが入っていますので、最後まで頑張ってお付き合い頂けると幸いです。
弊社のintime 碧に用いられているツイータ、VST(Vertical Support Tweeter)の駆動源は
以前の記事でも書きましたようにセラミックです。
セラミックは誘電体と呼ばれる電気特性を持っています。
一般的なダイナミックスピーカやBAはコイルと磁石を用いた構造で
電磁誘導体と呼ばれる電気特性を持っています。
このそれぞれの電気抵抗(交流理論ではインピーダンスと呼びますが)には以下のような特徴があります。

Zc:誘電体の電気抵抗
ZL:電磁誘導体の電気抵抗
f:周波数
C:誘電体の静電容量
L:電磁誘導体のインダクタンス

誘電体:周波数が上がると電気抵抗が小さくなります。
Zc=1/(2×π×f×C)

電磁誘導体:周波数が上がると電気抵抗が大きくなります。
ZL=2×π×f×L

要するにハイレゾのような高周波成分を多く含む信号を再生する時に
電磁誘導体を用いたダイナミックスピーカは抵抗値が大きくなるため
オーディオ信号が流入しにくくなり、結果的に高音は出にくくなります。
逆に言えば低温重視のスピーカとも言えます、

一方、誘電体は高周波で抵抗値が小さくなるため、オーディオ信号は流入し易くなり
高域で大きな音を出せるようになります。
反面低域の再生は苦手です。

みなさんはあまりご存じではないかもしれませんが
自動車のバックソナーや魚群探知機、超音波洗浄機、医療用ならCTスキャナなど
超音波を用いる装置のほとんどに誘電体の発音体、すなわちセラミック発音体が用いられています。
この実績を見て頂いてもセラミック発音体が高周波の再生に適していることがご理解頂けると思います。

VSTは高効率の誘電体ツイータです。
VSTの高周波特性とダイナミックスピーカの低域特性の融合は私のようなセラミックスのエンジニアからすると極自然な発想です。
そしてこの自然な発想がハイレゾイヤホンを開発するために得た一つの指針であり私のハイレゾに対する思いでもあるのです。

昨年末に誕生したintime 碧(SORA)。
確かにSORAでは従来のダイナミック型ハイレゾイヤホンよりは相当に高い周波数の音を再生出来ました。
しかしながら、販売している会社の代表が言ってはいけないのでしょうが、まだまだその特性は十分だとは思っていません。

はたして40kHzまで十分な音圧で再生出来るイヤホンを作ったら
本当にSACDを聞いたような感動があるかどうか?
それはSORAを作った時にもまだわかりませんでした。
そして今もまだ謎のままです。

要求された仕様が満たせてから、ハイレゾという規格の真偽を問えるようになると私は思います。
ただ手前味噌で恐縮ですが、
SORAというイヤホンが多くのユーザーの方々に「今まで無かった音」とか「きれいな音」として認知され、
そしてお買い上げ頂けていることは私が目指すイヤホンのもの作りの方向性が正しいのではないか?
と前向きに考えるようにしています。

私のハイレゾイヤホンの開発は始まったばかりです。
音質だけではなく、信頼性や実装性など勉強することがまだまだあります。
「事件は現場で起こっている」とは踊る捜査線の名台詞。
音という繊細なパフォーマンスを持つイヤホン作りにも同じことが言えます。
イヤホンを開発する立場の人間として
自分の耳で確認して、メーカとしての音作りに責任を持ち
決められた規格には真摯に向き合い、それを本当に実現出来た時に
日本オーディオ協会の唱える素晴らしい音をユーザの方々にお届け出来ることが出来ると私は信じています。

未だにソニーのSACDを聞いた時のあの感動を忘れられず
ハイレゾイヤホン開発への思いを馳せらせる今日この頃なのです。

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